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DATE : 2007/01/06(土)

著作権法:検索のための複製・編集を認める方向へ

■朝日新聞 2007/01/06 朝刊 1面

何がどうなる?


知的財産戦略本部経済産業省が、年内に著作権法を改正する方針を固める。
その際、「検索のための複製や編集」を認めようとしている。


何でそうするの?


基本のき

日本では、著作物は著作権者の承諾無しには、複製や編集ができない。とは言っても、個人で使用するだけならOKなど、いくつかの例外はある。その例外に、検索のためなら著作物を複製(コピー)や編集してもOKという項目を作ってしまおうという話。


そして、現状は…

yahoo! JAPANGoogleなどの検索サイトは、ネット上にある情報(つまり、誰かが作ったWebページ=著作物)を複製(コピー)して、その情報を検索しやすいように編集したデータベースを使用している。
しかし、このネット上にある情報をコピって、使いやすいように編集してしまう行為は、現在の日本の著作権法では著作権者(つまり、Webページの作者)の許可がなければ勝手にすることができない(=勝手にやってしまうと法律違反になってしまう!)。
その為、日本の検索サイトは、法律違反にならないように、検索用のデータベース(検索サーバ)を違法にならない海外(アメリカ)に置いて、何とか法律を守っていたのです。


で、何でそうするのさ?

検索サービスは、アメリカから生まれたもので、現在この検索市場を牛耳っているのが、アメリカのyahoo!GoogleMSN.com(マイクロソフト)の3社。
(ちなみに、この3社の検索技術はそれぞれ異なり、この3社以外の検索サイトは、この3社のいずれかの検索技術を利用している。だから、色々な検索サイトで自分のサイトを一番最初に表示させたければ、この3社の検索サイトで表示できるようにしておけばよいのです。)
一方、現在政府は日本の企業と協力して、3~5年後の実用化を目処に、次世代の検索技術を開発している。つまり、今までにない画期的な検索技術が実用化できたとしても、今の著作権法のままだったら、一番重要な検索用のシステムを日本にはおけず、アメリカにおかなければならない(=結局そこは、アメリカに依存っすか!?ダメじゃん!!)という心配があるからなのです。
勿論、今の著作権法が現状に合わないものになってしまっているという点もありますが。
(そりゃぁ、そうだよな。作ったときにはネットなんてなかったんだからさ!)

で、そうするとどうなる?

もし、「検索のための複製や編集」が認められるようになれば、日本にも検索サーバをおけるようになる。そうなれば、アメリカの企業がやっているようなインターネットにおける検索サービス事業を、もっと日本の企業ができるようになるよね★
つまり、ネット検索事業者をもっと育てていこうよ!(=ネット検索のビジネスを盛り上げていこうぜ!)という訳なのです。


今後の予定


2007/01/22
知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会部会で改正案の骨組みを決める
2007/06/XX
改正案を盛り込んだ「知的財産推進計画2007」ができる
2007/夏~秋
文化審議会の了解を得る
2007/秋
臨時国会に改正案を提出


ちょうたい★じゃーなる的問題点


まぁ、時代に合うように著作権法が改正されていくことはよいことです。ユーザ視点から見ても、よりよい情報検索ができるようになれば、それだけ文化の発展にも寄与することでしょう。
駄菓子菓子(←変換ミスじゃぁないよ。)、今回著作権法が改正される裏側には、やはりビジネス(=金儲け)があります(まぁ、動いているのが経済産業省じゃぁねぇ。。。)。
今回の場合は、文化の発展に寄与する方向のようなので特に問題が起きるよな感じはしませんが、ビジネスが絡んだ著作権法改正には文化の発展を妨げるものがあることを忘れないで欲しい。

近々取り上げたい話題ですが、金儲けのために「著作権保護期間が延期される!?」という問題も起きているのです。
(この問題は、企業にとっては儲け話だけど、文化の発展にはマイナスなのよ!)
インターネットの現状に合わせて法改正をしていくのであれば、この問題もきちんと考えてもらいたいところ。
この著作権保護期間延長問題に関しては、青空文庫さんの「著作権保護期間の延長を行わないよう求める請願署名」運動を参考にして欲しい。

結局、法改正っていっても、ビジネスに有利かどうかってのが改正の大前提で、文化のことなんて二の次なのね(=文化の発展から見た著作権法改正なんてないのね)…と、この記事の裏を考えざるを得ないのです。

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