記事一覧

DATE : 2009/05/23(土)

ルーブル展 2009

今日は、六本木の国立新美術館と上野の国立西洋美術館で行われているルーブル展に行ってきました。
以下、久々に簡単ながらレビューしてみます。今回は一言で言うと、どちらのルーブル展も珍しく「期待はずれ」と言った感じです。これから行かれるのを楽しみにしている方には申し訳ないのですが、展示大好きっ子さんで、これまでにも様々な展示を見てきている方だと、あまり得るものは無いかと。
#結構辛口ですが、意外と桜井個人的意見…と言う訳でもなく、一緒に行った美術館めぐりが大好きな友人も同じ意見でした。


【ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち】

場所:国立新美術館 (1階企画展示室1E)
会期:2009年3月25日(水)~6月1日(月)
公式サイト:http://www.asahi.com/louvre09

展示は、以下の7章で構成されている。

第1章 誕生と幼い日々
第2章 子どもの日常生活
第3章 死を巡って
第4章 子どもの肖像と家族の生活
第5章 古代の宗教と神話のなかの子ども
第6章 キリスト教美術のなかの子ども
第7章 装飾モティーフとしての子ども

各章は、始めに美術工芸品、彫刻などの立体物の展示、後半に絵画、素描などの2D物の展示というスタイルをとり、各テーマが様々な物に現れていることを伝えてくれている。こうした美術品MIXな展示スタイルは、ひとつのテーマを取り扱う上で非常に面白い手法だと思う。

しかし、全体的に説明が乏しく、聖書やギリシア神話などに精通していれば理解できなくもないが、そうでないと「子どもの像だ」、「子どもの絵だ」…程度にしか捉えることができない。
また、「ルーブル」という枠に囚われなければ、これまで様々な展示(特に、ミイラや美術工芸品の展示)を見てきた人ならば、“どこかで似たようなものを見た”というものが殆どで、展示物自体も、然程珍しいものでもない。また、今回の展示物は細かいものが多いため、少し物足りなさも感じる。

それゆえ、「子ども」という視点で展示物を集めたことだけが、面白い特徴である本展示、広くその意図が一般的に分かるように、もう少し詳しい解説のパネルが欲しかった。
これでは、全くと言っていいほど、展示テーマ、或いは個々の展示物そのものに対し、興味関心を持つのが難しい。
#そういう状態なため、普通は毎回買っている図録も、今回は買う程ではないとパス。

個人的には、古代エジプト・古代ギリシア~17、8世紀までではなく、19世紀についてまで、「子ども」についての展示を行って欲しかった。「子ども」をテーマにしていても、展示物の時代がかなり限定的なのは残念。「ルーブル」という制約の下でやらなかった方が、もっと面白い展示になったと思う。

桜井の鑑賞時間:1時間(会場の大きさと比べると展示物がかなり小さい+展示説明のVTRもなし)
混雑具合:展示物を見るのに目の前を普通に陣取れるほど、かなり空いている(13時頃)


【ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ】

場所:国立西洋美術館
会期:2009年2月28日(土)~6月14日(日)
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/louvre

展示は、以下の7章で構成されている。

Ⅰ.「黄金の世紀」とその陰の領域
Ⅱ.旅行と「科学革命」
Ⅲ.「聖人の世紀」、古代の継承者?

正直なところ、テレビなどで特番を何度も放送するなど、広報に力を入れている割には大したことのない展示。並んでまでして見るほどではない。
本展示の最大の目玉は、不動の人気を誇るフェルメール、レンブラント、ラ・トゥールあたりの絵画である。しかし、結局これら目玉作品とテレビなどでアピールしていた作品、取り上げていた作品意外は、あまり際立ったものがなく、来場者もそれほど興味関心を示さずスルーしている感じが強い。宣伝番組効果で会場は激込みであったため、どの絵画にも通常以上の人は集っていたが、目玉作品の前に出来た群集とは、明らかにその量が異なり、一目瞭然である。個々の作品の印象が薄い。
また、展示物の並べ方(展示順)もあまりよいとは言えず、目玉作品やテレビで取り上げた作品を、今回は各部屋の入り口付近で展示していたため、とば口で人だかりが出来てしまっている状態。
特に、一度階段を下りるところが酷く、次の部屋の入り口に、テレビで紹介していた作品が展示されていたため、そこに人が溜まってしまっており、階段のところから人の渋滞ができてしまっていた。

今回の展示は、17世紀と言う時代を絵画から把握するために、各セクションにそれぞれ当時を象徴するテーマを持たせているが、集まった絵画を見ているだけでは、そのテーマが分かりづらい。宣伝番組でも、これらのテーマには直接触れておらず、個々の作品の解説、或いはそれ以外の鑑賞ポイントなどが紹介されていたのみである。
公式サイトには「本展の楽しみ方」なども記載されているが、そうした情報も含めてもう少し、会場内にも欲しかった(HPを見ていることが前提の展示は、好ましいとは思えない)。

特に一番分かりにくいのは、「科学革命」。旅行については、色々な地域の風景が描かれた作品が展示されていたので、その当時の人々が様々な場所へ移動するようになった…という事が見て分かるのだが。「科学革命」については、この時代にデカルトが出てきて、新しい科学の考え方を提唱したこと、当時は最新の科学と古代からの科学が混在していたということ、が解説で触れられていたが、「デカルトの肖像画がある」、「古代の哲学者を描いた絵がある」…程度。
また、古い科学として錬金術(…一般向けの解説と言う視点ではわからなくもないが、語弊…ですよね、これ)が解説のなかで取り上げられていたが、絵画で錬金術(と、新しい科学が混在)を表したものがない(強いて言えば、これがそういう感じなのかなー…的なものはあったが、多少の知識がないと通常はそういう考えも浮かばない)のが、解説と展示が連動していない感じで残念。展示物とテーマ(解説)とが、互いに生かされあっていない感じである。
そして、「錬金術と天文学が混在」(…という表現だったと思うが、要するに共にあった…という旨の解説)という説明がされていたが、「“占星術と天文学”ではなくて?」と少し腑に落ちない部分も。

結局、テーマは面白いはずなのに、展示(物)だけでそれが把握できなかったことが、この展示の勿体ない点である。
今回の展示では、展示そのものよりも、前宣伝やお土産ビジネスに力を注いでいるとしか思えない。特番の放送や様々な種類のグッズが出ることは、お土産好きにとっては嬉しいことであるが、グッズをやたらと話題にし広報している点、他企業とのコラボでオリジナルグッズを製作している点などをみていると、展示に便乗した「お金儲け」を目的としているように思えてならない。展示には、買い物をしに来ているのではなく、芸術を鑑賞しに来ているのである。
予算があるのであれば、もっと会場内での説明を充実させて欲しい。

桜井の鑑賞時間:45分(入場するまでに入場制限で60分並ぶ、展示物数は71点と少ない)
混雑具合:激混み(16時半頃)

DATE : 2007/11/04(日)

ウィリアム・フィクナー NEWS! Vol.02:新作『Turok』

ウィリアム・フィクナー様の新作の情報です。
#ここまで本格的にやり始めると、いい加減別立てしろって感じですが(^_^;)。

2008年2月8日発売(北米版。日本版は2008年春発売予定)のPS3/XBOX360のゲームソフト『Turok (テュロック)』で、Logan(ローガン)というキャラクターの声を担当します。
#フィクナー様の声が(も?)好きな桜井にとっては、声の出演でも凄く嬉しいのですが、流石にフィクナー様の声の為だけに、やたらと高いPS3は100%買えん…。バデルトさんの為にPS2だって、まだ買っていないと言うのに(←ソフトだけは初回版で買ったけどね(苦笑))。。。

『Turok』はNINTENDO64で発売されていた同ソフトをリメイクした作品で、プレイヤーは特殊部隊隊員のジョセフ・テュロックとなり、不時着した恐竜が生息する惑星で生き残る為に戦うという一人用のアクション・シューティングゲームとのこと。
フィクナー様演じるローガンは特殊部隊のリーダー格のようです。
#ゲーマーではない桜井は、詳しいことは分かりません。。。
#商品に関する詳細は下記リンク先を参照して下さい。
#また、フィクナー様以外にもハリウッド俳優を声優として起用しているのですが、下記リンク先で紹介があるので、その辺も今回は割愛させて頂きます(^人^;)。

|| 360 Games Zone || | Turok [360 Games Zone]

GC 07: 『Turok』GC 2007ゲームプレイムービー [Game*Spark]
『Turok』恐竜に敵を襲わせるゲームプレイムービー4本立て [Game*Spark]

サバイバルを生き抜け! 『テュロック』 [ファミ通.com]

なお、ローガン役のフィクナー様の声は、公式サイトにあるキャラクター紹介の動画で聞くことが出来ます。
今回はちょっと濁声っぽい感じがカッコイイ。…が、この手の声で演じてる時って、大抵悪役なんだよなぁ…(ちょっと心配)。。。

『Turok』公式サイト
下部メニューより、[INTEL]→[CHARACTERS]→[右から2人目のキャラクターを選択]でローガンの動画が見られます。
年齢制限があるようなので、TOPページの生年月日入力欄は、各自の責任で適当に誤魔化してくだされ。
#しかし、フィクナー様って、何故かバイオレンスなゲームが多いですねぇ…。優しい声はホント優しいのに…。

DATE : 2007/10/08(月)

ウィリアム・フィクナー NEWS!

フィクナー様ブーム、来てます!
「ウィリアム・フィクナー NEWS!」では、逐次フィクナー様関連のニュースをお伝え中です。

================

フィクナー様の最新作、『俺たちフィギュアスケーター(原題:BLADES OF GLORY)』が2007年12月に日本公開決定!

配給:
ギャガ・コミュニケーションズ

公式サイト:
http://oretachi.gyao.jp/
http://www.bladesofglorymovie.com/

---------------

2007年10月14日(21:00-23:24)、『アルマゲドン』が日曜洋画劇場で放映。

公式サイト:
http://www.tv-asahi.co.jp/nichiyou/

DATE : 2007/10/07(日)

ウィリアム・フィクナー祭 第九弾:『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』

MDが世に出て間もないころ、映画とかドラマとかで使用される、"なんかハイテクなディスク"は大抵がMDで笑えた。。。
尤も、桜井家の場合は、親父さんがオーディオ関係が好きな為、そういうのは直ぐに導入されていたのだが、周りを見ると97、8年くらいまで、「MD?何それ!?すごーい!」という会話がなされていましたが―。
だから、MDが使われていたのか?

まぁ、スター・ウォーズも、物語の時代が新しくなるに連れ、その世界で使用されているメカがレトロ調になっていきますが。

「MDだよ、MD(笑)!」というのが、『ストレンジ・デイズ』の素朴な感想。

…というわけで、ウィリアム・フィクナー祭第九弾は『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』です。

あらずじ

時は1999年。人間の記憶を記録し、他人がその記憶を追体験できる"スクイッド"というデジタル記憶媒体がアンダーグラウンドで流行する近未来。
ロサンゼルスの街では犯罪が絶えず、同時に2000年という新しい時代への不安も高まっていた。
12月30日、"スクイッド"の売人で元警官のレニーの元に、"スクイッド"のデータを提供してくれる筈であった娼婦アイリスが助けを求めてやってくる。しかし、彼女は親友でレニーの元恋人でもあるフェイスと自分に危険が迫っていることを伝えると、誰かに追われているらしく、その場から慌てて去ってしまう。
一方、テレビでは、黒人たちの新たな時代を先導する人気アーティスト・ジェリコが射殺されたというニュースが流れ、街はさらに騒然となっていた。
そんな折、レニーの元に差出人不明の"スクイッド"のディスクが届く。そこに記録されていたのは、アイリスをレイプし殺した殺人犯の異常な記憶であった。
危険を感じたレニーは、女性ながらセキュリティのプロであるルイスと探偵のマックス、2人の友人の協力を得て、未だ想いを断ち切れていないフェイスを守り、事件を解明することに出る。
フェイスは今、射殺されたジェリコなを手がける音楽界の大物ガントの愛人となっており、歌手としてのメジャー・デビューも控えていたのだ。しかし、ガントから睨まれているレニーは、フェイスになかなか近づけない。そこでレニーは、マックスをフェイスの護衛役として送り込むのであった。
12月31日、アイリスがあるディスクを自分に残していたことを思い出したレニーは、車に放り込まれていたディスクを取りにルイスと駐車場へ向かう。だがそこに、ディスクを取り返そうとする2人組の警官が現れ、レニーとルイスは襲撃を受ける。アイリスを追っていたのは警官だったのだ。
全てはアイリスの残したディスクにある。レニーとルイスがディスクの中身を体験すると、そこにはジェリコ射殺事件の真相が隠されていた―。

レビュー

人間の記憶をデジタル記憶媒体に記憶し再生(体験?)可能にするという設定は、コンピュータが我々の身近な存在になって以来、よくあるSFネタではある。しかし、この作品では架空のアイテムが事件に上手く結び付けられており、サスペンス・ミステリーとして十分楽しめる要素を持っている。意外な人物が犯人であっても、後で「なるほど!」と思えるストーリー展開である点もよい。
また、SF映画にも関わらず、違和感無く事件を追えるのも、物語の時代が突飛な未来社会ではなく、1999年と言う身近な時代設定に他ならない。
差し詰め事件のキーとなる"スクイッド"は、犯行を記録した電子媒体といえるが、それが犯人の視点からのものであるところが面白い。眠るレニーの首に刃物をあてた犯人の記憶が記録された犯人からの警告"スクイッド"などは、まさに見えない犯人に狙われているという緊張感と恐怖感を与えてくれている。
しかし、本作をより内容のある映画にしている要素は、"スクイッド"が持つ過去性である。この映画において、"スクイッド"の果たす役割は事件のアイテムだけではない。
ここで物語の時代設定を、2000年直前といていることが重要な意味を持ってくる。
2000年―ミレニアムは新たな時代の幕開けの象徴である。物語にはサスペンス要素だけではなく、この新たな"未知の時代"へ対する退廃した現代からの期待と希望が謳われているのだ。
人間の記憶を記録する"スクイッド"は「過去」の象徴である。"スクイッド"の売人であるレニーは過去にとらわれた存在であり、『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』は彼が過去から脱却し新たな人生を切り開く成長物語というドラマを展開させている。
想い続け守る対象である昔の恋人とレニーを慕い共に戦う協力者、警官を辞めた人間による事件の解決という設定だけではなく、この作品では物語の時代をはじめ、"スクイッド"という架空のアイテムや黒人指導者のジェリコというキャラクターを登場させることで、新旧の対比によりメリハリを付けているのだ。これららの設定は、サスペンス・ミステリーの中に、過去を断ち切り新しいものへと向かうというドラマを演出し、より魅力的なストーリーに仕上げている。プロットのオリジナリティーが見事だ。
本作の公開は1995年であるが、その物語性から"2000年"を超えた現在でも、普遍的に楽しめる映画と言えるだろう。

ウィリアム・フィクナー in 『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』

『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』でのフィクナー様の役は、ジェリコ射殺事件の真相が記録された"スクイッド"ディスクを奪還しようとするロサンゼルス市警の警官、ドウェイン・エンゲルマン。ディスクを取り戻そうとするバートン・ステックラーの相棒で、彼と共にレニーらを執拗に追う。
キャラクターの位置づけとしてはステックラーのサポートといった感じでは在るが、苛立ちと焦りの色を露にするステックラーとは対照的に、沈着無言で銃弾を放ってくるエンゲルスマンは恐怖そのものである。
台詞もカットも少なく決して目立つ役ではないが、よく喋り感情的にしか行動できない"雑魚"ステックラーを、主人公の敵として引き立てているのは他でもなくエンゲルスマンの存在であろう。
その場に居るだけで、観る者に恐怖感を与える演技が素晴らしい。
また、沈黙を守る分、行動の予測が立たなかったエンゲルスマンだけに、彼の最期はこの映画の中でもインパクトのあるシーンに仕上がっている。出番が少ないにも関わらず、これほどまでに印象的なシーンを演じられることに、役者としての優れた技量を感じざるを得ない。
フィクナー様の力強い演技が見応えある作品である。

DATE : 2007/09/26(水)

ウィリアム・フィクナー祭 第八弾:『アルビノ・アリゲーター』

サスペンスやミステリー好きな桜井にとって、「衝撃のラスト」とか聞くと、どうにも気になって仕方ない。『アルビノ・アリゲーター』もそのひとつで、噂の「賛否両々を生んだ結末」というのが気になった、と言うのがこの映画を観るに至った切欠で。
#下記にぐたぐたとレビューしてますが、簡単に言えば『ソウ』みたいな感じのラスト。映画のテーマと後味の悪い結末のバランスが絶妙で、『ソウ』のラストに納得いく人は、このラストも気に入るのではないだろうか。因みに、同じ手法で誰も傷つけることなく脱出したのは『インサイド・マン』。

しかし、思うに、フィクナー様の出演作品の多くがサスペンス映画だったり、コンポーザーがリモート・コントロールのメンバーの映画だったりして本当に助かってます。。。
珍しく俳優にハマってしまい、作品見るぞ!(=DVDコンプ)と流れたものの、意外とDVDを持っている作品が多く、難なくコンプに近づいている今日この頃。。。

…という訳で、ウィリアム・フィクナー祭第八弾は『アルビノ・アリゲーター』です。

あらすじ

ドヴァ、マイロ、ロウの3人組みが倉庫に忍び込もうとした時、警報が鳴る。慌てて車で逃げ出した3人であったが、タイミングよく駆けつけた警察に追われることに。慌ててパトカーを振り切った3人組みであったが、仲間が負傷した為、近くにあった地下にある古いバーに逃げ込む。しかし、仲間を手当てしたら、誰も傷つけずに、すぐに逃げるつもりであったのだが、気がつけばバーの周囲を警察が取り囲まれてしまっていた。しかも、最悪なことに逃げ込んだ古いバーは、違法建築であった為、本来あるはずの裏口がない。彼らの逃げられる出口は、警察が取り囲むバーの入り口ひとつしかなかったのだ。
そこで、3人はバーにいた5人の人間―何とか強盗を取り押さえようとする店のオーナー、よく喋る雇われマダム、警察に犯人の人相を言ってやると言い放つ中年の客、ビリヤードをしに来ていた青年、そして謎めいた"静かな"ビジネスマン―を人質に立て篭ることを決意する。
どうすれば自分達が安全に逃げられるのか。3人が脱出方法を模索するそんな中、ギイと名乗った謎のビジネスマンが、人質に紛れて出て行けばいいと提案するのだが―。

レビュー

※後半ネタバレあり!※

物語は古いバーを中心に展開される。閉ざされた空間で繰り広げられる物語は、映画と言うよりも、舞台を観ているような演出である。
しかし、この舞台のような演出が、少ない登場人物たちを密接に関り合わせ、緊張感のあるストーリーを作り出している。
バーに立て篭る事になった、リーダー格のドヴァは、自分には犯罪者ではないごく普通の人生もあった筈と悩む青年である。
犯罪をしているにも関わらず人を傷つけることを嫌う、ドヴァの兄マイロ。その一方で、必要とあれば殺人も平気で行うと言う暴力的で危険な"異常者"のロウ。
この2人の間に挟まれたドヴァは、自分たちが安全に逃げる方法に決断が下せない。
そんな中、警察に追われていたのは自分たちではなく、別の人物であったことを知る。
行き詰ったドヴァたちが導き出した答えは、警官が追う武器商人をこの立て篭もり事件の犯人にすること。
だが、警察には顔を知られていない強盗3人組みであったが、人質に紛れて逃げれたとしても、人質が自分たちのことを黙ってくれていることがあるだろうか?
劇中、ロウによって語られ、本作のタイトルでもある「アルビノ・アリゲーター」とは、希少な確立で生まれる白いワニのことである。生まれつき体の弱いこの白いワニは、仲間のワニが生き延びる為、他のワニへの劣り=生贄にされるのだ。
ドヴァとマイロとロウの3人は、武器商人を立て篭もり事件の犯人にしようとする。
この自分が生き延びる為に、弱いものを犠牲にするというテーマは、本作に一貫して存在するテーマだ。
「アルビノ・アリゲーター」を探す強盗3人組みもまた、武器商人の正体が明らかにされたとき、彼に生贄にされかけていたことを、我々鑑賞者は理解するのである。
ドヴァとマイロとロウの3人をはじめ、武器商人、そして巻き込まれた人質たち。それぞれが生き延びる為に、策略を練る。それは、古いバーで展開される静かなサバイバルと言えるだろう。
物語は、生きる為の"犠牲"をそれぞれが払い、生還者を生む。
普通の人生を望んでいたドヴァもそのうちの一人。彼は"犯罪者"から"人質=普通の人"へ新しく生まれ変わることが出来たのだった。
しかし、"生贄"によって生き残った人々には助かったことへの素直な喜びはなく、そこの描かれるのは自分たちの犯した罪に苛まれる姿だ。
ラストシーンで、ニュースキャスターが助かった人々にインタビューするシーンがあるが、真実を知らないニュースキャスターが彼らを「ヒーロー」と称える場面の皮肉さは、作品をより高尚なものへと昇華させている。
この後味の悪さこそ、犠牲によって生き延びた人々の重さに他ならない。

ウィリアム・フィクナー in 『アルビノ・アリゲーター』

『アルビノ・アリゲーター』でのフィクナー様の役は、"異常者"と呼ばれ恐れられるロウ。必要とあれば人を殺すことも厭わないと言う凶暴性を持つキャラクターです。追い詰められ半ばパニックになっているドヴァを余所目に、平然と構え人質たちを威嚇。犠牲者を出したくないマイロにとっても、仲間と言えども手を焼く相手となっています。
しかし、こうしたロウの犯罪を楽しんでいるかのような姿や負傷したマイロも手荒に扱う思いやりの無さは、人質の安全を考えるドヴァやマイロとは対照的に人質たちへ恐怖を与える存在として、物語が追い詰められた3人の強盗だけのものではないことを忘れさせないでくれます。
また、終始"異常者"として凶悪ぶりを見せてきたロウが、人質を殺そうと銃を構えるも、マダムと青年が実は親子であったことを知ったときに思わず躊躇ってしまう姿には、人間的な一面が垣間見られ、本当は人が思っているほど"異常者"では無かったことがわかります。この一瞬の変化で、キャラクターの内面を描き出す演技は、流石はフィクナー様というところです。

DATE : 2007/09/26(水)

ウィリアム・フィクナー祭 第七弾:『MONA 彼女が殺された理由』

"いかにも"なパッケージとタイトルをはじめ、「驚愕のどんでん返し」、「一瞬たりとも目が離せない急展開サスペンス。ミステリー」などの宣伝文句につられ、すごく入り組んでドロドロしたシリアスなサスペンスを期待して観たのですが。。。。
なんか日本の場合、作品の内容を無視して売れるように宣伝する傾向があるようで、その内容の違いに驚いた傑作。
#いや、結果的に推理モノとしては、その辺のサスペンスよりしっかりしていてよかったのですがね。因みに、アメリカ版の方が、コミカルな作風に合った感じで、作品を観た人からしてみれば違和感無いです。
そして、あのもじゃもじゃ頭の仕様が無い"変態おやじ"はフィクナー様なのね…(泣)と、振り返る今日この頃。

と言う訳で、ウィリアム・フィクナー祭第七弾は、『MONA 彼女が殺された理由』です。

あらすじ

ある日、田舎町で車に乗った女性が、車ごと川に落ちて死亡するという事故が起こる。誰もが事故と思う中、車に細工の後を見つけた保安官のラッシュは、それが殺人事件であると睨む。
ひとり捜査に乗り出したラッシュであったが、被害者の女性モナは町でも名高い嫌われ者。家族を始め、モナの身近な人物全員が彼女を嫌っており、殺したい動機もあったのだ。
そんな中、モナの息子と事業を起こしていたボビーが怪しいと言う噂を耳にする。しかし、ボビーはラッシュの娘エレンの婚約者。ラッシュは、モナを殺した犯人を突き止めようとする一方で、義理の息子となるボビーに掛けられた殺人犯という容疑を晴らそうと、捜査を進めていくのだが…。

レビュー

田舎町で起こった殺人事件。サスペンス・ミステリー映画と聞くと、シリアスな展開が普通であるが、本策は一味違う。軽快な音楽に乗せて、物語はテンポよく、コミカルに進んでいく。
個性豊かなキャラクターに、滑稽な人物関係。それはまるでサスペンスというより、コメディー映画だ。
しかし、コメディー・タッチではあるものの、ミステリー映画としての推理部分も決して疎かではない。推理のレベル的には、『名探偵コナン』などの子供向けアニメ程度ではあるが、劇中の証言や証拠の他にも、映像の細かいところにヒントが隠されており、鑑賞者も謎解きを楽しめる。本格的なミステリーが苦手な人でも、十分楽しめる映画としてお勧めできる作品である。
特に、真犯人を知ってからもう一度鑑賞をすると、一度目の鑑賞では何とも思わなかった(或いは、笑えた)台詞や行動に、複線的な意味があったことに気づかされる。また、モナを殺したにも関わらず、平然を装い自分は殺人事件とは関係ないという真犯人の態度や神経には思わずぞっとさせれれてしまう。
『MONA 彼女が殺された理由』は豪華キャストの競演ではあるが、この恐ろしい真犯人役にあの俳優を抜擢したことには、その個性や演技力からまさに適任であり、そのキャスティングの見事さに脱帽させられる。

ただし、後半になるにつれ、物語の方向は、ボビーを殺人者にしない為の画策へと変わっていってしまっている点は、これだけ手の込んだ作品なだけに勿体無く思える。折角鑑賞者も参加できる推理のスタイルをとっているにも関わらず、探偵(本作の場合は保安官ラッシュ)が事件の真相を解き明かすという場面が無い。従って、推理を楽しんでいる者としては、物語の核であった殺人事件の話がうやむやになってしまい、些か消化不良に陥る。ラストシーンも、ボビーとエレンの結婚式で締めくくられ、作品全体の印象が「町の邪魔者を排除して、ハッピーエンドになる物語」となってしまっているのが残念である。
尤も、これは物語のプロット上、そうせざるを得ない部分もあるのだが。

ウィリアム・フィクナー in 『MONA 彼女が殺された理由』

今回のフィクナー様の役は、殺された女性モナの夫フィル・ディアリー。フィルはなぜモナ結婚したのかよく分からないくらい、日々彼女の尻に敷かれ、時に浮気疑惑からフライパンで叩かれ…、となんとも情けない立場にいる一家の主です。正直なところ、かっこいいフィクナー様のお姿を観たい方にはお勧めできるシーンはありません。髪型ももじゃもじゃ頭に揉み上げと、セクシーさも皆無。しかも、フィルの性格は(劇中の言葉を借りれば)"変態おやじ"。日中も所かまわず浮気相手のウェイトレスの体を触り、単なる助兵衛おやじに他なりません。
尤も、こういう役も難なく熟している所は、流石はフィクナー様という感じで、純粋に演技力が好きというのであれば、押さえておくべき一作ではあります。
(付け加えて言えば、この映画を最後まで観れば、自ずとなぜフィクナー様がこの役を演じたのかが、納得いく筈です。)

DATE : 2007/09/26(水)

ウィリアム・フィクナー祭 第六弾:『コンタクト』

桜井が初めてフィクナー様を観た映画、それが『コンタクト』でした。その時の演技が印象に残り、桜井家ではその後現在に至るまで、フィクナー様は(当時は役者名が分からなかったので)"コンタクトに出てた人"で通じるようになっています。。。

因みに、今回「フィクナー祭」の為に改めて観直しましたが、観なおす前に覚えていたことといえば(ネタバレは除く)、

・主演はジョディ・フォスター
・主人公がすごく頼りにしている天文学者がいた(←これがフィクナー様演じるケント)

ぐらい。結構好きな映画なので、ビデオで何回も観ていたのですがね。超メインキャラの宗教学者の恋人など、「誰?そんなヤツいたか?」状態でした。。。
ファンとして目覚めたのは最近ですが、意外とフィクナー様との縁は古い。。。

と言うわけで、ウィリアム・フィクナー祭第六弾は、『コンタクト』です!

あらすじ

幼いころから宇宙への関心が高かったエリナー"エリー"・アロウェイは、地球外知的生命体の研究を行う電波天文学者となった。
しかし、地球外知的生命体探査は他の研究者たちからは相手にされず、エリーの研究チームはアレシボ天文台の利用権と研究予算を打ち切られてしまう。研究を続けるべく予算獲得に動く中、大富豪S.R.ハデンの目に留まったエリーは、彼から援助を受けることに成功し、アメリカ国立電波天文台の施設VLA(超大型干渉電波望遠鏡群)での観測を可能にしたのであった。
ある日、エリーは観測していた宇宙からの電波の中に、知的生命体からのメッセージを見つける。それはヴェガから届いたものだった。
ヴェガからの信号を解析しようとするエリーのチームであったが、そこへ政府が介入し、政治的宗教的問題が絡んだ国家規模のプロジェクトへと発展してしまう。
一方、ハデンの助言のもと、エリーはヴェガからのメッセージは、宇宙空間を移動できる装置"ポッド"の設計図であることを解読する。そして、設計図を元に"ポッド"が建設されることとなったが、"ポッド"への搭乗員は1名のみ。プロジェクトの中心となっていたエリーも有力な候補に挙がるが、その人選をめぐり、宗教問題が持ち上がる。結果、神の存在を信じず、科学的なデータしか信じないエリーは落選してしまい、代わりに選ばれたのはアレシボ天文台での予算を打ち切った天文学者であった。

レビュー

地球外生命体をテーマにしたSF映画と聞くと、宇宙人が地球に侵攻してくるアクション・スペクタクル映画を思い浮かべる。しかし、この映画はタコのような宇宙人もUFOも登場しない。『コンタクト』は、我々人類が地球外生命体と接触すときに起こりうるだろう問題を描いた映画なのである。
アメリカが主導権を握ると言う政治的問題もさることながら、ここでは『コンタクト』で取り上げられた宗教問題を見てみたい。
主人公エリーの「科学的な証拠が無いものは信じない」という姿勢は、まさに現代の科学者の姿といえる。しかし、そのエリーが、地球外生命体と接触によって神の存在を認めるようになる結末は、科学とは我々人類にとってどのような存在であったかというとこを物語ってくれているように思える。
そもそも科学はいかにして生まれたのか。そこには"神"という存在が不可欠なのである。
例えば、当時の世界観を覆したコペルニクスの地動説にしても、現代人のように"科学的"に検証した結果、天動説が間違っているから打ち出した理論ではない。コペルニクスは、"神"が創造した世界をもっと知りたいと思ったが故に、天体を観測し、宇宙の真の姿を導き出したのである。その為、この理論が発表された当初は、カトリック教会も地動説は"神"が創造した世界を現したものとして支持していたのだ。
欧米社会で"神"(或いは、"宗教")と言うと、キリストを連想するかもしれないが、『コンタクト』でエリーに存在を認めるか否かを問う"神"(或いは、信仰心)とは、もっと宇宙規模の"ある存在"と考えた方がよい[*1]。
例えば、ニュートンが発見した万有引力は F=G(Mm/r*r) の公式で求めることが出来るが、なぜ引力が存在するのかと言う問題は解決できていない。
現代の科学(或いは、科学技術)を持ってしても、解明できていない問題は大いにある。これらの問題について、"なぜ存在するのか"ということを考えるとき、そこに我々を超えた何かの存在を認めざるを得ない。
それは、『コンタクト』におけるエリーの「人類の存在」という問いにも当てはまる。
真理を探求するエリー。『コンタクト』は科学本来の姿を見せてくれた映画といえないだろうか。

*1:科学が発達したルネサンス期、"神"存在と言えば、やはりキリスト教の存在は不可欠と言えるが、このキリスト教には、古代ギリシアからの哲学思想も組み込まれている。また、キリスト教以外にも、アリストテレスやプラトンをはじめとする様々な哲学の思想が普及しており、これらの思想が科学者に与えた影響も大きい。つまり、単純に"神"="宗教"(特に、救済的な意味を持っての宗教、或いは、キリスト教)と結びつけて解釈することは安易である。

ウィリアム・フィクナー in 『コンタクト』

フィクナー様の『コンタクト』での役は、盲目の天文学者ケント・クラーク。盲目と引き換えに、聴力は鋭く、ヴェガから送られてきた複雑な信号音からも、他の研究者が気づかなかった音を拾い取る程である。
アレシボ天文台での研究のリーダー的な存在で、陽気な人柄のケントは、エリーが最も信頼し頼りにする天文学者である。エリーが緊張と不安の中"ポット"に乗り、ヴェガへと旅立とうとする時も、駆けつけたケントの存在に安堵する。また、"ポッド"が動きが不安定になり、誰もが中止を検討していた中、ケントだけが"ポッド"からのエリーの通信に耳を澄まし、彼女の「GO!」という指示を拾う。
こうした意味では、宗教学者の恋人パーマー・ジョスよりも、エリーの支えとなっている人物ともいえる。
残念ながら、ケントは研究チームのメンバーの為、エリーと政府とのやり取りがメインとなる映画の中盤は登場しない(ケントの話には出てくるが、彼の姿を拝見できるのは、アレシボ天文台時代と、ヴェガからの信号受信時、そしてエリーが"ポッド"に乗るときの場面だけである。)。しかし、フィクナー様の存在感のある演技によって、登場回数は少ないが重要人物であるケント・クラークは、映画の中でも印象に残る人物となっている。

DATE : 2007/09/26(水)

ウィリアム・フィクナー祭 TOP

気がつくとフィクナー祭の記事が多くなっているので、ここらでまとめのページを作っておきます。
たぶん、ここが「ウィリアム・フィクナー祭」のトップページです。

しかしなんだか、ファンサイトと作れるだけの情報が集まってしまっている今日この頃。
しかも、色々サイトをめぐったが、ファンサイト的なサイトから映画の公式を含め、日本語で書かれたバイオグラフィーで詳細な紹介が無かったのも、ファンとしてはちょっと悲しかった(…ので、自分が執筆してみた)。。。
…たぶんフィクナー様のファンサイトは、某ファンサイトの実験的な部分を兼ねて、この辺の記事を元に『プリズン・ブレイク』が放送中の間に作ります(現在構成を検討中)。
というわけで(?)、「ウィリアム・フィクナー祭」はファンサイト用の設計メモ化します。

■最終更新日:2007/11/4

ウィリアム・フィクナー NEWS!

ウィリアム・フィクナー NEWS! Vol.02:新作『Turok』 New!
『BLADES OF GLORY』日本公開決定、『アルマゲドン』地上波放映


ウィリアム・フィクナーについて

英語表記 :
William Fichtner
William Bill Fichtner
Bill Fichtner
William Edward "Bill" Fichtner
※「Bill (ビル)」はニックネーム

日本語表記 :
ウィリアム・フィクナー

※「ウィリアム・フィクトナー」は誤読。その他の誤記誤読にについては、「Fichtner」の読み方について検証したサイトを参照して下さい。

General informations

IMDb
tv.com
Hollywood.com
Yahoo! Movies
TVGvguide.com
allcinema ONLINE

Born

誕生日 : 1956年7月27日
出生地 : ニューヨーク州ロングアイランド (アメリカ)
出生名 : William Edward Fichtner

Fanmail Addresses

William Fichtner
"Prison Break"
20th Century Fox Television
Acme Productions
10201 West Pico Boulevard
Building 38, Room 125
Los Angeles CA 90035
USA

William Fichtner
Brillstein-Grey Entertainment
9150 Wilshire Blvd.
Suite 350
Beverly Hills, CA 90212
USA

William Fichtner
William Morris Agency
One William Morris Place
Beverly Hills, CA 90212
USA

※ ファンレター宛先情報サイト「Fanmail.biz」による情報につき、このアドレスにファンレターを送る際は各自の責任で行って下さい(管理人はこのアドレスの真偽を確認しておりません)。詳細、送り方等については、情報元である「FanMail.biz - William Fichtner ★」で直接ご確認ください。
※ 「Fanmail.biz」に寄せられた情報によれば、返信は1ヶ月後くらいには頂けているようです(日本からだともう少しスパンがあるかも)。また、返信にはサイン入りの写真も同封されているようです。

Biography

1978年、ニューヨーク州立大学ブロックポート校刑事裁判学科[*1]で学士号を取得後、ニューヨークにあるアメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツ(American Academy of Dramatic Arts)で演技を学ぶ。
また、サークル・レパートリー・シアター(Circle Repertory Company)にも所属し、ウィリアムズタウン・シアター(the Williamstown Theatre)での「Clothes for a Summer Hotel」(1979)、ミネッタ・レーン・シアター(Minetta Lane Theater)での「The Raft of the Medusa」(1990)、マンハッタン・シアタークラブ(the Manhattan Theatre Club)での「The Years」(1991)などの舞台に出演を果たした。1993年には、ノーマン・ルネ監督(『レックレス/逃げきれぬ女』)による舞台「Fiery Furnace」にも出演している。

俳優としての活動は、1987~1989年に、現在も放送中のテレビドラマ『アズ・ザ・ワールド・ターンズ(As the World Turns)』(1958~)に、ジョシュ・スニダー(Josh Snyder)[別名:ロド・ランドリー(Rod Landry)]役で出演したことから始まる[*2]。
1993年に『マルコムX』で映画デビューをしたしたフィクナーは、1994年からのテレビドラマ『グレース・アンダー・ファイアー (Grace Under Fire)』ファースト・シーズンにレギュラー出演を果たした。

その後、映画では『蒼い記憶』(1995)、『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』(1995)、『アルビノ・アリゲーター』(1996)などに出演し、脇役ながらも存在感のある演技を魅せる。

近年では、『アルマゲドン』(1998)、『パール・ハーバー』(2001)、『ブラックホーク・ダウン』(2001)などのジェリー・ブラッカイマー作品や『パーフェクト・ストーム』(2000)、『クラッシュ』(2004)などのハリウッド・メジャー作品にも数多く出演する一方、PS2用ゲーム『グランド・セフト・オート・バイスシティ』(2002)、『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』(2004)、テレビアニメ『アメリカンダッド!(American Dad!)』(2005)、『Mr.&Mrs. スミス』(2005)などでは、声の出演も担当している。

また、テレビドラマでも活躍をしており、医療現場を舞台にしたドラマ『MD's (MD's)』や『LOST』に対抗するSFドラマとして話題を呼んだ『invasion -インベイジョン-』では主演を務める。特に、シーズンⅡ からレギュラー出演した人気海外ドラマ『プリズン・ブレイク』では、FBI捜査官アレクサンダー・マホーン役が当たり役となり、彼自身も一躍"ブレイク"することとなった。
多様な役を演じることが出来るフィクナーは、ハリウッドでも注目を浴びる俳優となっている。

好きな食べ物は寿司。現在はロサンゼルスに在住。
前妻ベッティ・アイデム(『新・刑事コジャック/ベラリス・ファイル』)と、1998年に再婚した現在の妻キンバリー・カリル[*3](『ザ・エージェント』)とに、それぞれ一人ずつ子供がいる。

*1:Criminal Justice at SUNY Brockport。適切な訳語が無かった為、直訳した。
*2:『アズ・ザ・ワールド・ターンズ』には、その後も再び同じ役で、1992年から1994年までの間に、何回かの出演をしている。
*3:Kymberly Kalil。「Kymberly」の読みが不明な為、音が近いと思われる「キンバリー」と訳した。

Filmography

※設計メモでのフィルモグラフィーは、単純な作品紹介のみとし、完全なフィルモグラフィーは今のところこのページに書く予定はありません(このページでは膨大過ぎます…)。
※祭の順番と作品の公開順は関係ありません。
※番外編では、日本未公開作品を紹介しています。
※祭と番外編は随時追加していきます。

ウィリアム・フィクナー祭 第一弾:『ウルトラヴァイオレット』
ウィリアム・フィクナー祭 第二弾:『パーフェクト・ストーム』
ウィリアム・フィクナー祭 第三弾:『ビッグ・マネー』
ウィリアム・フィクナー祭 第四弾:『アルマゲドン』
ウィリアム・フィクナー祭 第五弾:『リベリオン』
ウィリアム・フィクナー祭 第六弾:『コンタクト』
ウィリアム・フィクナー祭 第七弾:『MONA 彼女が殺された理由』
ウィリアム・フィクナー祭 第八弾:『アルビノ・アリゲーター』
ウィリアム・フィクナー祭 第九弾:『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』

ウィリアム・フィクナー祭 番外編その1:『Grace Under Fire (グレース・アンダー・ファイヤー)』

Links

ウィリアム・フィクナー関連:

The Official William Fichtner Fan Site
ウィリアム・フィクナーの公式ファンサイト。リニューアルされました。

William Fichtner Fansite
ドイツのファンによるウィリアム・フィクナーの非公式ファンサイト。リニューアルされました。

Midnight Sun
日本のファンによるウィリアム・フィクナーの紹介サイト。恐らく日本最古のウィリアム・フィクナーのファンサイトです。

【海外俳優】ウィリアム・フィクナー ★ William Fichtner
映画データベース&海外テレビドラマ☆Spaceman Movie Data and TV fan page☆」内のウィリアム・フィクナー紹介ページ。

Fichtner Fan
ウィリアム・フィクナーのファン同盟。

マホーン捜査官(プリズン・ブレイク)関連:

WANTED! the alexander mahone (prison break) fanlisting
マホーン捜査官のファン同盟。

{into the sunset} Prison Break season 2 fanlisting
『プリズン・ブレイク』シーズンⅡのファン同盟。

Bluebuckのマホーンさん
ウィリアム・フィクナーと『プリズン・ブレイク』の登場人物を描くイラスト・ファンサイト。よくある同人イラストやコミック的なものではなく、写実的なイラストなので純粋なファンの方にもお勧めのサイトです。

猫とプリズンブレイク
『プリズン・ブレイク』の非公式ファンサイト。恐らく数ある日本のファンサイトのうち、一番情報量が多いと思われる。

DATE : 2007/08/20(月)

ウィリアム・フィクナー祭 第五弾:『リベリオン』

クラウス・バデルトのファンで、カート・ウィマー作品好きで、フィクナー様落ちした桜井にとって、やはり外せない作品と言えば『リベリオン』!

…と言う訳で、ウィリアム・フィクナー祭第五弾は、カート・ウィマー監督の初監督作品『リベリオン』です。
#以下、あらすじ→作品解説→バデルトの音楽解説→『リベリオン』におけるフィクナー様→『プリズン・ブレイク』な見所(?)の順になっています。…何か?

リベリオン

あらすじ

物語の舞台は、第三次世界大戦が起こった近未来。政府は人々を争いのない平和な世界を約束する為に、感情を禁止―感情を抑制する薬"プロジアム"を服用させ、文学、音楽、絵画などを国家的に取り締まっていた。
主人公のジョン・プレストン(クリスチャン・ベール)は、その取締りを行う"クラリック"と呼ばれる捜査官。彼は政府に忠実に、銃を使う際に武術の動きを取り入れた格闘技"ガン=カタ"を駆使し、感情を持つ反乱者たちを殲滅していた。
しかし、ある日、"プロジアム"を服用できなかったプレストンは、感情を抱き始める。
自分が逮捕した反乱者メアリーとの出会いをきっかけに、感情を禁止する政府の政策に疑問を持ち始めたプレストンは、反乱者たちと共に政府を倒す戦いに挑む。

作品解説

SFアクションというジャンルではあるものの、『リベリオン』は人間の感情を取り上げたテーマの深い作品といえる。
特にラストシーンで、反乱者たちが"プロジアム"の生産工場を爆破した様子を見て、微笑むプレストンの姿が印象的。
反乱者たちの蜂起は、人々が感情(=人間性)を取り戻すための行動ではあるが、戦争のない平和な世界というのは破られるという事実がある。。。戦いが起こった情景に、微笑むプレストンの姿は、ある意味ぞっとさせる。
そして、この映画は反乱者たちの蜂起という形で終わり、その後の世界がどうなったのかは語られていない。人間性豊かな平和な世界が訪れたのか、それとも"怒り"によって争いの耐えない世界になったのか―それは鑑賞者の想像に任せられている。物語の結末は、ある意味現実世界を生きる我々へ還元されているのかもしれない。
#物語が大団円を迎えないこのプロットは、『ウルトラヴァイオレット』にも見られる。ここでも根源的な悪を倒すことが作品内の重要事項であり、主人公たちはその後どうすべきか(或いは、どうなったか)という問題は、鑑賞者への還元であり、鑑賞者への問題提起なのである。

人間は感情を持ってこそ人間らしく生きられるが、それには怒り、憎しみといった戦争の元になる"代償"も併せ持つ。―だから、平和な世界を気づく為に、人間は自分自身で感情をコントロールする必要がある…そのようなメッセージがこの作品には込められているのではないだろうか。

音楽解説

『リベリオン』はクラウス・バデルトがアメリカ進出をしてから―即ち、リモート・コントロール(旧メディア・ベンチャーズ)に所属してからの―の初単独クレジット作品。
静まった緊張感を表す電子音の使い方などは、後の『ポセイドン』に通じるものがある。
『リベリオン』はアクション映画というジャンルではあるが、そのスコアの半分以上は静かな(或いは、荘厳な)スコアであることに気づく。
これは、作品の基幹となる社会の重々しさや指導者たちの冷淡さを表現しているからである。また、ワーグナー調の音楽によって劇中のファシズムをあらわし、逆に民主主義をイメージさせるものとして、聖歌隊による音楽(オーケストラを使用する予算がなかった為、シンセサイザーや聖歌隊のサンプル音源を使用)を使用している。
作品の後半からアクション系のスコアが多くなるが、これらの激しい音楽は、主人公プレストンの抱く感情と対応しているかのように思える。プレストンが初めて"ガン=カタ"を披露した時、本来は派手なアクション・シーンでありながら、音楽がないことによって感情を持たないプレストンが表現されている。他方、感情を持ち始めてからのアクションシーンには、テンポのよいスコアが響き、プレストンの感情の変化を伺わせてくれる。
『リベリオン』は初単独クレジットにふさわしい、バデルトらしい音楽表現が見られる作品と言える。

ウィリアム・フィクナー in 『リベリオン』

…で、ウィリアム・フィクナー祭に戻ります。

『リベリオン』でのフィクナー様は、政府に対抗する反乱分子のリーダー、ユルゲン。
プレストンを見張っており、彼を仲間に誘うという役です。
出演時間からみるとかなり少ないのですが(他のファンの方の感想に「ちょっとだけ出てた」というのを見たことがありますが)、作品から見るとかなりの重要人物(だから、ちゃんと他のメインキャラを演じる俳優さんと共に、ポスターやチラシなどにクレジットされています)。
ユルゲンの役割は、感情には"代償"があるということをプレストンに語るというもので、このシーンは作品の内容から言ってもとても重要なシーンといえます。
役どころとと俳優の存在感という点から見ても、フィクナー様に相応しい役です。
また、メインで登場するのは後半ですが、映画の前半―指導者の人が演説をしているシーン―でも何気なく登場(演説を聞いている人々にまぎれている)しています。
初めて見る場合は、見落としがちなので、要チェックです。
ちなみに、ユルゲン役ではいつもの鬣ヘアではなく前髪があります。。。

余談。この作品でも『プリズン・ブレイク』な見所(?)有!
『プリズン・ブレイク』でリンカーン役のドミニク・パーセルが、シーマス役(冒頭で登場する反乱者達のグループのリーダー)で出演しています。反乱者ということで、立場としてはユルゲンと同じですが、この二人に接点はないようです。

『リベリオン』各国公式サイト リンク集
『リベリオン』ファンサイト リンク集
William Fichtner in "Equilibrium" @ William Fichtner Official Fan Site
旧トップページ
現在のトップページ(現在、リニューアル中のようです)

DATE : 2007/08/18(土)

ウィリアム・フィクナー祭 番外編その1 『Grace Under Fire (グレース・アンダー・ファイヤー)』

この日記の検索ワードが、「マホーン フィクナー」とか「ウィリアム・フィクナー」とか「フィクナー様」になってきた今日この頃。
「ウィリアム・フィクナー」で検索結果も上位の方なのは嬉しいが、この「ちょうたい☆じゃーなる」のメインな話題は違うはずなので(桜井の位置づけとしては、やっぱりバデルト・ファンサイトの延長線)、素直に喜んでいいものやら、微妙な心境。
やっぱりRCメンバ情報(疎かだけど…)に、「プリズン・ブレイク サントラ (サウンドトラック)」とか「プリズン・ブレイク ラミン・ジャワディ」とかで引っかかって欲しかった。。。

…と言っても、「フィクナー様」で引っかかる以上は、"それなり"に情報提供していきたいと思います。1ヶ月限定のはずが、すでに無期限延長です(苦笑)。

と言うわけで(?)、「ウィリアム・フィクナー祭 番外編」ということで、この「番外編」では、フィクナー様の日本未公開・未放送作品を紹介していきます(これからも"していく"のか?)。

今回は、「YouTube」にUPされていた作品から(違法UPなんだろうが…)、『Grace Under Fire (グレース・アンダー・ファイヤー)』です。

『Grace Under Fire (グレース・アンダー・ファイヤー)』

『Grace Under Fire』より、シーズン1/エピソード15 : When You Wish Upon a Star

どうやら、フィクナー様のシーンだけをピックアップして編集してあるようで、キャラクター設定や全体的なストーリーの内容がわかり辛いのですが―、フィクナー様、どことなく初々しい感じが…(『ビック・マネー』以前にも、コメディーをやっていたんですね)。頼りない感じだけど、好青年(…と言っても、この時、御歳38歳ですが)と言う感じです。なんか、かわいらしい。。。
しかし、あのトレード・マーク(?)の髪型もネタに???

『Grace Under Fire (グレース・アンダー・ファイヤー)』は1993年から1998年までアメリカで放映された、シングル・マザーのグレース・ケリーを主人公にした全5シーズンのコメディー・ドラマ。
DVDはアメリカにて、5シーズン全112話を収録したコンプリート・ボックス(ディスク20枚組!)が発売されています。

フィクナー様は、1994年から1995年に放送された9エピソードに,グレースの恋人?「ライアン・スパークス(Ryan Sparks)」役で準レギュラー出演されています。

出演エピソードは、以下の通り。

[シーズン1]
エピソード12 : With This Ring (1994/01/05 オンエア)
エピソード13 : Simply Grace (1994/01/12 オンエア)
エピソード15 : When You Wish Upon a Star (1994/02/02 オンエア)
エピソード16 : Valentine's Day (1994/02/09 オンエア)
エピソード18 : Tears of Joy (1994/03/09 オンエア)
エピソード19 : It Happened One Week (1994/03/16 オンエア)
エピソード20 : Things Left Undone (1994/05/11 オンエア)
エピソード21 : See Quentin Run (1994/05/18 オンエア)

[シーズン2]
エピソード24: When It Rains, They Pour (1995/05/10 オンエア)

#さすがに、112話中9話のために、BOXを買う気にはなれんな…。。。見たいけど。

ページ移動