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DATE : 2009/05/23(土)

ルーブル展 2009

今日は、六本木の国立新美術館と上野の国立西洋美術館で行われているルーブル展に行ってきました。
以下、久々に簡単ながらレビューしてみます。今回は一言で言うと、どちらのルーブル展も珍しく「期待はずれ」と言った感じです。これから行かれるのを楽しみにしている方には申し訳ないのですが、展示大好きっ子さんで、これまでにも様々な展示を見てきている方だと、あまり得るものは無いかと。
#結構辛口ですが、意外と桜井個人的意見…と言う訳でもなく、一緒に行った美術館めぐりが大好きな友人も同じ意見でした。


【ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち】

場所:国立新美術館 (1階企画展示室1E)
会期:2009年3月25日(水)~6月1日(月)
公式サイト:http://www.asahi.com/louvre09

展示は、以下の7章で構成されている。

第1章 誕生と幼い日々
第2章 子どもの日常生活
第3章 死を巡って
第4章 子どもの肖像と家族の生活
第5章 古代の宗教と神話のなかの子ども
第6章 キリスト教美術のなかの子ども
第7章 装飾モティーフとしての子ども

各章は、始めに美術工芸品、彫刻などの立体物の展示、後半に絵画、素描などの2D物の展示というスタイルをとり、各テーマが様々な物に現れていることを伝えてくれている。こうした美術品MIXな展示スタイルは、ひとつのテーマを取り扱う上で非常に面白い手法だと思う。

しかし、全体的に説明が乏しく、聖書やギリシア神話などに精通していれば理解できなくもないが、そうでないと「子どもの像だ」、「子どもの絵だ」…程度にしか捉えることができない。
また、「ルーブル」という枠に囚われなければ、これまで様々な展示(特に、ミイラや美術工芸品の展示)を見てきた人ならば、“どこかで似たようなものを見た”というものが殆どで、展示物自体も、然程珍しいものでもない。また、今回の展示物は細かいものが多いため、少し物足りなさも感じる。

それゆえ、「子ども」という視点で展示物を集めたことだけが、面白い特徴である本展示、広くその意図が一般的に分かるように、もう少し詳しい解説のパネルが欲しかった。
これでは、全くと言っていいほど、展示テーマ、或いは個々の展示物そのものに対し、興味関心を持つのが難しい。
#そういう状態なため、普通は毎回買っている図録も、今回は買う程ではないとパス。

個人的には、古代エジプト・古代ギリシア~17、8世紀までではなく、19世紀についてまで、「子ども」についての展示を行って欲しかった。「子ども」をテーマにしていても、展示物の時代がかなり限定的なのは残念。「ルーブル」という制約の下でやらなかった方が、もっと面白い展示になったと思う。

桜井の鑑賞時間:1時間(会場の大きさと比べると展示物がかなり小さい+展示説明のVTRもなし)
混雑具合:展示物を見るのに目の前を普通に陣取れるほど、かなり空いている(13時頃)


【ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ】

場所:国立西洋美術館
会期:2009年2月28日(土)~6月14日(日)
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/louvre

展示は、以下の7章で構成されている。

Ⅰ.「黄金の世紀」とその陰の領域
Ⅱ.旅行と「科学革命」
Ⅲ.「聖人の世紀」、古代の継承者?

正直なところ、テレビなどで特番を何度も放送するなど、広報に力を入れている割には大したことのない展示。並んでまでして見るほどではない。
本展示の最大の目玉は、不動の人気を誇るフェルメール、レンブラント、ラ・トゥールあたりの絵画である。しかし、結局これら目玉作品とテレビなどでアピールしていた作品、取り上げていた作品意外は、あまり際立ったものがなく、来場者もそれほど興味関心を示さずスルーしている感じが強い。宣伝番組効果で会場は激込みであったため、どの絵画にも通常以上の人は集っていたが、目玉作品の前に出来た群集とは、明らかにその量が異なり、一目瞭然である。個々の作品の印象が薄い。
また、展示物の並べ方(展示順)もあまりよいとは言えず、目玉作品やテレビで取り上げた作品を、今回は各部屋の入り口付近で展示していたため、とば口で人だかりが出来てしまっている状態。
特に、一度階段を下りるところが酷く、次の部屋の入り口に、テレビで紹介していた作品が展示されていたため、そこに人が溜まってしまっており、階段のところから人の渋滞ができてしまっていた。

今回の展示は、17世紀と言う時代を絵画から把握するために、各セクションにそれぞれ当時を象徴するテーマを持たせているが、集まった絵画を見ているだけでは、そのテーマが分かりづらい。宣伝番組でも、これらのテーマには直接触れておらず、個々の作品の解説、或いはそれ以外の鑑賞ポイントなどが紹介されていたのみである。
公式サイトには「本展の楽しみ方」なども記載されているが、そうした情報も含めてもう少し、会場内にも欲しかった(HPを見ていることが前提の展示は、好ましいとは思えない)。

特に一番分かりにくいのは、「科学革命」。旅行については、色々な地域の風景が描かれた作品が展示されていたので、その当時の人々が様々な場所へ移動するようになった…という事が見て分かるのだが。「科学革命」については、この時代にデカルトが出てきて、新しい科学の考え方を提唱したこと、当時は最新の科学と古代からの科学が混在していたということ、が解説で触れられていたが、「デカルトの肖像画がある」、「古代の哲学者を描いた絵がある」…程度。
また、古い科学として錬金術(…一般向けの解説と言う視点ではわからなくもないが、語弊…ですよね、これ)が解説のなかで取り上げられていたが、絵画で錬金術(と、新しい科学が混在)を表したものがない(強いて言えば、これがそういう感じなのかなー…的なものはあったが、多少の知識がないと通常はそういう考えも浮かばない)のが、解説と展示が連動していない感じで残念。展示物とテーマ(解説)とが、互いに生かされあっていない感じである。
そして、「錬金術と天文学が混在」(…という表現だったと思うが、要するに共にあった…という旨の解説)という説明がされていたが、「“占星術と天文学”ではなくて?」と少し腑に落ちない部分も。

結局、テーマは面白いはずなのに、展示(物)だけでそれが把握できなかったことが、この展示の勿体ない点である。
今回の展示では、展示そのものよりも、前宣伝やお土産ビジネスに力を注いでいるとしか思えない。特番の放送や様々な種類のグッズが出ることは、お土産好きにとっては嬉しいことであるが、グッズをやたらと話題にし広報している点、他企業とのコラボでオリジナルグッズを製作している点などをみていると、展示に便乗した「お金儲け」を目的としているように思えてならない。展示には、買い物をしに来ているのではなく、芸術を鑑賞しに来ているのである。
予算があるのであれば、もっと会場内での説明を充実させて欲しい。

桜井の鑑賞時間:45分(入場するまでに入場制限で60分並ぶ、展示物数は71点と少ない)
混雑具合:激混み(16時半頃)

DATE : 2007/01/07(日)

2007年の都内の主な特別展

2007年、都内で開催される主な特別展をご紹介します。

ちょうたい★じゃーなる的注目


今年の最も注目される特別展は、やはり「日本におけるイタリア2007・春」の一環で行われる「レオナルド・ダ・ヴィンチ ― 天才の実像」展(2007年3月20日ー6月17日)でしょうか。
過去に行われたダ・ヴィンチ関連の大規模な特別展としては、「白貂(しろてん)を抱く貴婦人」が来日した2002年の「チャルトリスキ・コレクション展」(参照12)や「レスター手稿」が公開された2005年の「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」などがある。
今回行われる「レオナルド・ダ・ヴィンチ ― 天才の実像」展では、ダ・ヴィンチの初単独作品といわれる「受胎告知」が来日する。


都内の主な特別展


1月開催

2007年1月2日(火)ー2月25日(日)
悠久の美―中国国家博物館名品展
場所:東京国立博物館
2007年1月2日(火)ー3月4日(日)
江戸城
場所:江戸東京博物館
2007年1月20日(土)-3月18日(日)
プリンセスの輝き ティアラ展~華麗なるジュエリーの世界~
場所:Bunkamura ザ・ミュージアム
2007年1月23日(火)~3月18日(日)
ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワ名品展 マーオリ―楽園の神々―
場所:東京国立博物館
2007年1月27日(土)ー4月8日(日)
オルセー美術館展
場所:東京都美術館


2月開催

2007年2月7日(水)ー5月7日(月)
邦人(エトランジェ)たちのパリ 1900-2005 ポンピドー・センター所蔵作品展
場所:国立新美術館


3月開催

2007年3月1日(木)ー4月1日(日)
よみがえる源氏物語絵巻
場所:そごう美術館
2007年3月6日(日)ー5月6日(日)
イタリア・ルネサンスの版画ーチューリッヒ工科大学版画素描館の所蔵作品による
場所:国立西洋美術館
2007年3月20日(火)ー6月17日(日)
レオナルド・ダ・ヴィンチ ― 天才の実像
場所:東京国立博物館
2007年3月20日(火)ー6月17日(日)
ロシア皇帝の至宝展~世界遺産クレムリンの奇跡~
場所:江戸東京博物館


4月開催

2007年4月7日(土)-6月3日(日)
モディリアーニと妻ジャンヌの物語展 運命のアーティスト・カップル
場所:Bunkamura ザ・ミュージアム


5月開催

6月開催

2007年6月9日(土)-7月22日(日)
プラハ国立美術館所蔵 ルーベンスとブリューゲルの時代
場所:Bunkamura ザ・ミュージアム


7月開催

2007年7月28日(土)- 8月26日(日)
ルドンの黒 目を閉じると見えてくる異形の友人たち
場所:Bunkamura ザ・ミュージアム


8月開催

2007年8月1日(水)ー9月24日(月)
トプカプ至宝展
場所:東京都美術館


9月開催

2007年9月2日(日)-10月21日(日)
ヴェネツィア絵画のきらめき ―栄光のルネサンスから華麗なる18世紀へ―
場所:Bunkamura ザ・ミュージアム


10月開催

2007年10月10日(水)ー12月24日(月)
フィラデルフィア美術館展:印象派と20世紀の美術
場所:東京都美術館


11月開催

12月開催

2007年12月1日(土)-2008年1月20日(日)
故郷スイスの村の情景 アンカー展
場所:Bunkamura ザ・ミュージアム


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